「血圧が高いといわれたけど、何も症状はないから大丈夫」
そう思っていませんか?
日本人の高血圧有病者数は約4300万人で、人口の3割にのぼりますが、そのうち実際に治療を受けているのは6割に満たない※といわれています。
※日本高血圧学会
高血圧を放っておくと血管に負担がかかり続け、命に関わる合併症のリスクが高まります。
しかも、合併症は自覚症状がないまま進行することが多く、気づいたら重症化しているケースも少なくありません。だからこそ、日ごろから適切にコントロールすることが必要です。
この記事では、高血圧のリスクと今日からできる対策について説明していきます。
日常生活で少しずつ意識を変えていくことが、将来の病気のリスクを減らす一歩になるはずです。
そもそも血圧とは?
血圧とは心臓から出ている動脈という血管の圧力のことを指し、血液量や血管の弾力などの要素で変化します。心臓が縮まったときの最高血圧、広がったときの最低血圧の数値で定義されます。血圧は日常の動作や食生活、気温などで大きく変わりますが、健康な人は適切な数値に保たれるようコントロールされているのです。
高血圧の定義
高血圧とは、診察時の血圧が140/90mmHg以上(家庭血圧135/85mmHg以上)の状態をいいます。そして、合併症のリスクを下げるための目標数値は130/80mmHg未満です。※
高血圧は自覚症状がないまま重症化することがあるため、「サイレント・キラー」といわれています。
※高血圧管理・治療ガイドライン
高血圧を放置するリスク

高血圧により血管に負担がかかる状態が続くと、血管はその負担に耐えようと厚く、固くなります。すると次第に弾力性が失われて脆くなり、動脈硬化という状態を引き起こします。動脈硬化が進行すると血液の流れが悪くなったり詰まったりする原因となり、その結果、様々な臓器に深刻な影響を及ぼすのです。
脳への影響
脳の血管が詰まると脳梗塞、細い血管が破れることで脳出血を引き起こします。いずれも意識がなくなったり言語障害や麻痺、認知障害などの症状があらわれます。
また、脳のくも膜下という部分が出血するとくも膜下出血となります。突然の激しい頭痛や意識障害・吐き気を伴い、治療が遅れると後遺症が残ったり死亡率が高くなったりすることがあります。
心臓への影響
心臓への合併症としては、狭心症や心筋梗塞などがあげられます。
狭心症は動脈硬化により血管が狭くなることで血流が悪くなり、主に動いているときに胸の痛みが起こる病気です。
そして血の塊ができて血管が詰まり、血液が流れず栄養が行き届かなくなることで細胞が壊れてしまう状態が心筋梗塞です。激しい胸痛や脈の乱れ、吐き気を伴い、命に関わります。
腎臓への影響
腎臓は血液をろ過して不純物や余分な水分を尿として体の外に排出する重要な器官です。高血圧によって腎臓の血管に動脈硬化が起こると血流が少なくなり、ろ過する能力が低くなって腎臓病を引き起こします。
その他の血管障害
心臓から出ている大動脈の壁が高血圧などにより弱くなり、こぶ状に膨らむ症状を大動脈瘤といいます。破れると大出血が起き、死にいたる可能性があるので注意が必要です。また足の血管に動脈硬化ができる閉塞性動脈硬化症は、歩くと足が痛み、悪化すると潰瘍*を伴う場合もあります。
*潰瘍:皮膚や粘膜の表面が炎症などによって深く傷つき、えぐれたような状態
血圧を下げるための生活習慣

高血圧を指摘されても、すぐに薬を飲まなければいけないわけではありません。血圧は生活習慣を見直すことで十分にコントロールできます。できることから少しずつ取り組んでみましょう。
減塩習慣
塩分を摂りすぎると血液中の塩分濃度が濃くなります。すると身体は濃くなった血液を薄めようと水分をため込み、その結果血液量が増えて血圧が上昇するのです。高血圧を予防・改善するために推奨される1日の食塩摂取量は6gで、この量はラーメン一杯で超えてしまうといわれています。ラーメンはスープを残す、インスタント食品やコンビニ食品は量と頻度を見直して野菜や魚を取り入れるなど、できるところから減塩を意識してみてください。
飲酒は適度に
お酒は適量であれば身体に良いといわれていますが、量が増えると血圧を上昇させます。特に日本人は、飲酒によって高血圧のリスクが上がりやすいといわれています。詳しい理由は明らかになっていませんが、身体を興奮させる交感神経が刺激されることが原因の1つのようです。
禁煙
たばこに含まれるニコチンは血管を狭めてしまい、血圧を上昇させます。たばこを控えるだけでなく、他者のたばこの煙にも気を付けましょう。
定期的な運動習慣
適度な運動は血管の働きを改善し、血圧を下げる効果があります。1日40分以上の運動が推奨されていますが、まずは1駅分歩く、階段を使う、なるべく車は使わないなど、できるところから意識してみてください。
ストレスをためない
精神的ストレスがかかると交感神経が刺激され、血圧が上がってしまいます。十分な休息をとり、リラックスできる方法を見つけましょう。
急激な温度変化に注意
寒暖差が激しいと身体が対応しきれず、血圧が上がってしまう傾向にあります。寒い季節はしっかり防寒し、なるべく室内と外気温の温度差が少なくなるように心掛けましょう。また入浴時は39〜40℃のぬるめの湯音にし、長湯は避けるようにしてください。
適正な体重管理
肥満は高血圧の原因となります。BMI(体格指数:体重kg÷身長㎡)25未満を目指して、食生活や運動習慣を意識しましょう。
血圧を管理しよう

家庭で血圧を測ることは、高血圧治療に役立ちます。普段の生活の中での血圧を知ることで、より的確な治療につながるためです。
家庭用の血圧測定器は家電量販店やドラッグストアで扱っているので、ご自身が操作しやすいものを選んでみてください。1日2回、朝と夜の決まった時間に測るのがおすすめです。朝は起床後1時間以内に、夜は入浴後1時間以内を避け、寝る前に測りましょう。
日々の血圧変化の記録は、医師が治療方針を決める上で重要な判断材料となります。できる範囲で続けてみてください。
こんな場合は医療機関へ

血圧が160/100mmHg以上の場合はすぐに医療機関を受診してください。脳卒中などの合併症を起こすリスクが非常に高いためです。
また、1カ月以上生活習慣の改善を行っていても血圧が135/85mmHg以上の状態が続く場合にも、受診が必要です。
まとめ
高血圧症は、日々の生活習慣を見直すことで予防・改善できる病気です。減塩や適度な運動、適酒など、今日からできる小さな習慣の積み重ねが、将来の健康を守る第一歩となります。まずは家庭で血圧を測ることから、自分の体と向き合う習慣を作ってみてくださいね。
参考文献

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