痛み止めや解熱剤として、「ロキソニン」や「カロナール」という名前の薬を病院で処方されたことはありませんか?
薬の名前を覚えられないという患者さんも、この2つは知っていることが多い印象です。
実はこのロキソニンとカロナール、同じ「痛み止め・解熱剤」として使われることが多いものの、働き方や特徴が大きく異なる薬なんです。
この記事ではロキソニンとカロナールの違いや使い分けについて、薬剤師が分かりやすく解説していきます。
痛み止めや解熱剤を選ぶとき、それがほんとうに自分に合っているのかどうかを考えるきっかけになると幸いです。
痛いところで働くロキソニン、脳に働きかけるカロナール

ロキソニンは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)の一種で、鎮痛・解熱・抗炎症効果があります。
痛みや炎症の原因となるプロスタグランジン(以下PG)の生成を阻害することで効果を発揮する薬で、患部に直接作用する点が特徴です。
カロナールは解熱・鎮痛効果がありますが、ロキソニンと違い抗炎症作用はありません。
脳の神経系に作用して弱いPG合成阻害作用を示すとともに、脳からの痛みを弱く感じさせる神経回路を活性化させるといわれています。また、脳の体温調節機能に作用し、皮膚血管を広げて熱を体外へ逃がすことで解熱作用を示します。
より即効性に優れるのはロキソニン
抜歯後の鎮痛効果で比較すると、ロキソニン(120mg服用)は服用から15分以内に52%、30分以内には83%の方が効果を実感しているというデータがあり、効果は4〜6時間持続します。(※1)
対してカロナール(400mg服用)は15分以内に37.5%、30分以内に68.8%、60分以内に87.5%となり、効果持続時間は2〜6時間です。(※2)
この結果から、ロキソニンの方がより早く効果を実感でき、持続時間も比較的長い傾向にあります。
剤形が多く、量が調整しやすいのはカロナール
ロキソニンの剤形は錠剤と粉のみで、錠剤の規格は60mgのみとシンプルです。
カロナールは錠剤と粉に加えシロップや坐剤もあり、年齢や好みによって服用方法の選択肢が多いのが特徴です。また、錠剤の規格は200mg、300mg、500mgと多いため、量の細かい調節が可能となります。
ロキソニンの注意点
ロキソニンは即効性があり、強い効果を期待できる薬です。
ですが副作用に注意が必要な薬でもあるため、不安な方は必ず医師や薬剤師に相談してください。
妊娠後期(28週以降)の方、授乳中の方
妊娠中、特に後期の方は、分娩や胎児に悪影響が出るといわれているため服用できません。
また、お薬の説明書には「服用後は授乳の中止を検討すること」と記載があります。
母乳へ移行する量は測定限界量以下なので影響はほぼないのですが、授乳中の患者さんには処方されない傾向にあります。
胃への負担が心配な方
ロキソニンは長期で飲むと胃が傷ついてしまうことがあるため、胃・十二指腸潰瘍の既往がある方は服用できません。胃が弱いと思う人も避けた方が良いでしょう。
持病がある方、高齢者
ロキソニンは心機能に影響を与えたり、血液の機能障害を起こすことがあります。また腎臓や肝臓にも負担がかかるため、機能が弱くなっている高齢者は注意が必要です。飲むときは必ず医師や薬剤師に相談してください。
鎮痛剤によって喘息発作を起こしたことがある方
NSAIDSを服用すると、強い喘息発作や鼻症状を起こす方がいます。
すべての喘息患者さんに起こるわけではありませんが、鎮痛剤を飲んで咳や鼻症状が強くなった経験がある方は服用を避けてください。
インフルエンザの解熱に対しては服用しない
インフルエンザによる発熱に対して、ロキソニンを含むNSAIDSの服用は推奨されていません。
インフルエンザによって引き起こされる脳の機能障害であるインフルエンザ脳症の発症リスクを上げる可能性を否定できないためです。
インフルエンザ脳症は5歳以下の乳幼児に起こることが多いですが、大人でもリスクはあるため、インフルエンザにかかった時にはロキソニンは飲まないようにしましょう。
比較的安全なカロナールの注意点
カロナールは、妊娠・授乳中の方や乳幼児から高齢者まで幅広い方が服用することができます。
そのためリスクが低い解熱鎮痛剤と思われがちですが、注意点もあります。
肝臓への負担に注意が必要
肝機能が弱くなっている方がカロナールを長期にわたり服用すると、肝障害を悪化させることがあります。
また、アルコールは肝臓への負担を増大させるため、カロナールを服用中は飲酒は避けるようにしましょう。
他薬との併用による過量服用に注意
カロナールの成分は市販の総合感冒薬の成分の一つに含まれていることがあります。
知らずに一緒に服用してしまうと、体内に入るカロナールの量が過剰になり副作用のリスクが上がる原因となります。
市販の薬と併用したい場合は、必ず薬剤師に飲み合わせを確認してもらってくださいね。
ロキソニンとカロナールは自己判断で併用しない
ロキソニンとカロナールは働き方が異なるため、医師の指示のもとで併用するケースもあります。
ですが自己判断で併用すると、腎臓や肝臓への負担が大きくなったり、副作用のリスクが上がったりする可能性があります。
併用を検討している場合は、必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
ロキソニンとカロナール、どっちを使えばいい?
「違いは分かったけど、結局自分はどちらが合ってるの?」と迷う方も多いかと思います。
そんな方に向けて、ロキソニンとカロナールの使い分けについて以下にまとめたので、参考にしてみてください。
ロキソニンが向いているのはこんな人
- 炎症を伴う痛み(抜歯、腫れ、急性の腰痛など)
- 持病がない方
- 即効性を求める方
- 強い痛み
- 短期で使う方
カロナールが向いているのはこんな人
- 妊娠・授乳中の方
- 高齢者
- 15歳以下の子ども
- 胃潰瘍の既往がある方
- インフルエンザの解熱目的
- 慢性的な痛みがある方
違いを理解して、自分に合っている薬を選ぼう
ロキソニンとカロナールはどちらも身近な解熱鎮痛剤ですが、働き方や得意な場面は異なります。
炎症を伴う強い痛みや即効性を求める方はロキソニン、効果はマイルドで妊婦さん、子ども、高齢者など幅広い方が使えるのがカロナール、というのが大まかな使い分けです。
ですが熱・痛みの原因や持病などによって適した薬や副作用のリスクは変わってきます。
どちらを選んだ方が良いか迷った時は、医師や薬剤師に遠慮なく相談してみてください。
身近で欠かせない薬だからこそ、身体に負担がかからない薬を選択してくださいね。
参考文献

コメント