2026年5月から、ドラッグストアなどで購入できるOTC医薬品の販売ルールが変更になったのを知っていますか?
「前は普通に買えたのに、急にレジで色々と確認されてびっくりした…」
という方もいらっしゃるかもしれません。
変更になったのは以下の2点です。
①「濫用等のおそれのある医薬品」が「指定濫用防止医薬品」へ名称変更され、これらの成分を含むOTC医薬品の販売ルールが厳格化された。
②要指導医薬品が、オンライン服薬指導を受ければインターネットで購入できるようになった。
今回は、①について詳しくまとめてみました。
「指定濫用防止医薬品」って?

現在、若者を中心に、医薬品を決められた量以上飲む「オーバードーズ(OD)」が深刻な社会問題となっています。
医薬品の成分の中には、大量に飲むことで脳などの神経に麻痺を起こして、高揚感や依存性を引き起こすものがあります。
実際に、薬物依存の治療を受けた10代患者の約7割が、市販薬を服用していたというデータもあります。
こうした背景から、以下の8成分を含むOTC医薬品が「指定薬物防止医薬品」に指定されました。
①エフェドリン
②コデイン
③ジヒドロコデイン
④プソイドエフェドリン
⑤ブロモバレリル尿素
⑥メチルエフェドリン
⑦ジフェンヒドラミン
⑧デキストロメトルファン
※全て外用剤は除く
今まで「濫用等の恐れのある医薬品」に①〜⑥が指定されていましたが、5月から「指定薬物防止医薬品」に名前が変わり、⑦・⑧が追加されました。
これらの成分は主に風邪薬や咳止めなどに含まれています。
販売方法はどう変わったの?
これまでは、「濫用等の恐れのある医薬品」の販売時の確認や説明は“努力義務“でした。
しかし、2026年5月からは、「指定濫用防止医薬品」の販売時は、購入者への確認と情報提供が“義務“化されました。
このルールは、薬機法(医薬品医療機器等法)に基づいています。
説明や確認を怠っていることが分かった場合は法律違反とみなされ、販売者側はペナルティが下されます。
そのため、販売時には以下のような確認が行われます。
・若年者へ販売するときは、氏名及び年齢
・他店での購入状況
・複数・大量購入の場合はその理由
また、用法・用量について、対面販売の場合は書面、ビデオ通話の場合は画面共有等を用いて、説明を受けることになります。
つまり、対象医薬品を購入するときはレジで質問や説明が増えるということです。
また、該当医薬品は空箱陳列されるなど、購入者の手が届かない場所に陳列されます。
代理購入はできる?
代理購入については現時点では明確なルールは示されていません。
しかし、原則は本人への販売となるので、やむを得ず代理購入する場合は使用者の年齢確認や身分証明書の提示を求められるかもしれません。
販売個数に制限あり
指定濫用防止医薬品は、原則は1包装のみの購入となります。
さらに、年齢や包装サイズによって追加の制限がかかります。
18歳未満の場合
・小包装のみ購入可能
・インターネット購入不可
18歳以上の場合
複数購入や大容量購入を希望する場合は、
・対面販売またはビデオ通話販売
・正当な理由の確認
が必要になります。
薬剤師として感じること
市販薬のODは以前から社会問題となっていましたが、なかなか対策が進んでいませんでした。
それが今回薬機法で販売方法が法律化されたことは、大きな一歩だと感じています。
ただ、課題はまだ残っています。
大量購入を完全に防ぐのは難しい
販売個数を制限しても、複数店を買い回れば大量購入ができてしまう可能性があります。
他店での購入状況は販売時に確認しますが、基本的には自己申告です。
そのため、「マイナンバーカードなどで購入履歴を一元管理しない限り、完全な防止は難しいのでは」という意見もあります。
カスタマーハラスメント(カスハラ)問題
レジでの確認が増えることで、理不尽な言葉をかけられることがあります。
ほとんどの方が協力的ですが、一部そういった態度をとられる方がいると現場スタッフは思っている以上に疲弊します。
まとめ

OTC医薬品の販売ルールについては、今後も社会状況に合わせて変わっていくことが考えられます。
現場の薬剤師や登録販売者が適応していくことはもちろんですが、購入する側もルールを知り、協力していただけるととても助かります。
今回の制度改正によって、市販薬のOD問題が少しでも改善することを願っています。
参考文献
厚生労働省「一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について」「指定濫用防止医薬品の指定について(令和7年度第3回医薬品等安全対策部会 資料1−2)」「医薬品を安全に使うために」


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